ゴブレットスクワット(Goblet Squat)は、ダンベルやケトルベルを胸の前で抱えるように持って行うスクワットです。
主に鍛えられるのは、太もも前の大腿四頭筋と、お尻の大殿筋。
重りを身体の前で持つためスクワットの動きをつかみやすく、初心者にも取り入れやすい一方で、重量を上げれば下半身へしっかり負荷をかけられます。ゴブレットスクワットを直接調べた研究でも、大腿四頭筋を狙いやすい種目であることが示されています。
まずはここだけ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 主に効く | 大腿四頭筋(太もも前) |
| 一緒に働く | 大殿筋(お尻)・内転筋群・体幹 |
| 回数 | 8〜12回 × 2〜3セット |
| 重さ | 8〜12回であと2〜3回できる程度 |
| 深さ | 太ももが床と平行になる程度をひとつの目安に |
見た目・スタイルへの影響
ゴブレットスクワットで強く鍛えられるのが、太もも前の大腿四頭筋です。
ここは特に「脚を細くしたい」と考えている人には知っておいてほしいポイント。
大腿四頭筋を鍛えて筋肉が発達すれば、前ももの厚みは増える可能性があります。
女性でも筋トレによる筋肥大は起こりますし、レジスタンストレーニングによって大腿四頭筋の筋厚が増えることも確認されています。つまり、ゴブレットスクワットを単純に「太ももを細くする運動」として紹介するのは適切ではありません。
一方、スクワットでは大殿筋や内転筋群も鍛えられます。一般的なスクワット研究では、膝伸展筋だけでなく大殿筋・内転筋群にも筋量増加が確認されています。
そのため、
前ももを大きくしたくない人
→ ゴブレットスクワットだけに偏らず、お尻やハムストリングスを狙う種目も組み合わせる
太ももとお尻をしっかり鍛えたい人
→ ゴブレットスクワットは取り入れやすい
という考え方がおすすめです。

「脚トレ=脚が細くなる」ではないよ。前ももの筋肉をしっかり鍛える種目だから、どんな脚を目指したいかで使い方を考えよう。
ただ、大腿四頭筋は人間の身体のなかで一番大きな筋肉なので鍛える意義は大きいよ!
どこを鍛える?

① 大腿四頭筋
一番のメインです。
大腿四頭筋は太ももの前側にあり、しゃがんだ状態から膝を伸ばして立ち上がるときに大きく働きます。
ゴブレットスクワットとランドマインスクワットを比較した研究では、ゴブレットスクワットの方が内側広筋・外側広筋の活動が高く、研究者らは大腿四頭筋を狙うのに適しているとしています。
② 大殿筋
お尻の大きな筋肉です。
しゃがんだ状態から股関節を伸ばして身体を起こすときに働きます。
③ 内転筋群
太ももの内側にある筋肉です。
スクワットでは股関節の動きに関わりながら、脚を安定させる役割も担います。一般的なスクワットトレーニングでは内転筋群の筋量増加も確認されています。
ゴブレットスクワットのやり方
- ダンベルを胸の前で縦に持つ
- 脇を軽く締め、肘を下へ向ける
- 足を肩幅〜やや広めに開き、つま先を自然に少し外へ向ける
- 膝と股関節を曲げながらしゃがむ
- 膝とつま先を同じ方向へ向ける
- 太ももが床と平行になる程度を目安に下ろす
- 足裏全体で床を押して立ち上がる
ダン・ジョンによる原型の説明でも、ダンベルまたはケトルベルを胸の前で保持し、肘を下へ向けてしゃがむ方法が紹介されています。つま先は少し外へ向けるのが基本です。
横から見るポイント
ダンベルは胸から離しすぎないようにします。
身体から遠ざかるほど重りに前へ引っ張られやすくなるため、胸の近くで安定させます。
しゃがむときは、RDLのようにお尻だけを大きく後ろへ引くのではなく、膝もしっかり曲げながら下へしゃがむのがポイントです。
正面から見るポイント
動画の正面カットでは、この3つを確認してください。
- 膝とつま先が同じ方向
- 左右均等にしゃがむ
- ダンベルが身体の中央にある
よくあるNG
NG① 膝が内側に入る

しゃがむときや立ち上がるときに、膝が大きく内側へ入ってしまうパターンです。
膝とつま先がおおむね同じ方向へ動くようにします。
左右どちらかだけ内側へ入る場合は、正面から確認すると分かりやすいです。
NG② かかとが浮く

深くしゃがもうとして、かかとが床から浮いてしまうパターンです。
深さだけを優先せず、足裏全体で床を捉えられる範囲でしゃがみます。
NG③ ダンベルが胸から離れる
ダンベルが前へ離れると、腕や肩が先に疲れやすくなります。
脇を軽く締め、ダンベルを胸の近くで固定しておきましょう。
初心者の重量・回数の目安
ゴブレットスクワットは下半身の大きな筋肉を使うため、必要以上に軽い重量で行う必要はありません。
目安は、
8〜12回行って、あと2〜3回ならできそう
くらいの重量です。
NSCAのプログラム例でも、ゴブレットスクワットは8〜10回・RPE7〜8程度で設定されています。
最初に重量を選ぶときの実用的な試し重量としては、
| 状態 | 最初に試す重量の例 |
|---|---|
| 小柄・運動経験が少ない | 8〜12kg |
| 一般的な初心者 | 12〜16kg |
| 体格が大きい・運動経験あり | 16〜24kg以上も選択肢 |
くらいから試し、実際の回数で調整すると分かりやすいです。
※このkgは研究で決められた「初心者の標準重量」ではありません。 体格や筋力差が大きいため、最終的には回数と余力で判断します。
12回やってもかなり余裕があるなら、次の重量へ。
逆に8回まで到達できないほど重ければ、少し軽くします。

ゴブレットスクワットは意外と重いダンベルを持てる種目。軽すぎる重量で回数だけこなすより、太ももやお尻にちゃんと負荷がかかる重さを選ぼう。
PLUS ONE|「ゴブレット」ってどういう意味?
goblet(ゴブレット)とは「杯(さかずき)」のこと。
実は、
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』
の「ゴブレット」と同じ英単語です。
英題は、
Harry Potter and the Goblet of Fire
です。
ただし、ゴブレットスクワットがハリー・ポッターから名付けられたわけではありません。
ゴブレットスクワットを広めたストレングスコーチのDan John(ダン・ジョン)は、スクワットをうまく教える方法を探していたとき、ケトルベルを胸の前で「聖杯(Holy Grail)」を持つように抱えていました。
そこからしゃがんでみたことが、ゴブレットスクワットにつながったと本人が説明しています。
つまり、
胸の前で重りを持つ姿が、杯を持っているように見える
からGoblet Squat。
ハリー・ポッターの「炎のゴブレット」と、ゴブレットスクワットの「ゴブレット」は、どちらも**「杯」を意味する同じ goblet**。こう覚えると忘れにくいですね。
まとめ
ゴブレットスクワットは、ダンベルやケトルベルを胸の前で持って行うスクワットです。
主に大腿四頭筋と大殿筋を鍛えられます。
ポイントは、
- ダンベルを胸の近くで持つ
- 脇を軽く締める
- 膝とつま先を同じ方向へ向ける
- 足裏全体で床を押す
- 8〜12回であと2〜3回できる重量を選ぶ
こと。
また、特に女性で「脚を細くしたい」という場合は、大腿四頭筋が発達すると前ももの厚みが増える可能性があることも知った上で取り入れましょう。レジスタンストレーニングは女性でも筋肥大を起こします。
膝や腰などに鋭い痛みが出る場合は、その場で中止してください。
参考文献
- Collins KS, et al. Differences in Muscle Activity and Kinetics Between the Goblet Squat and Landmine Squat in Men and Women. J Strength Cond Res. 2021.
- Kubo K, Ikebukuro T, Yata H. Effects of squat training with different depths on lower limb muscle volumes. Eur J Appl Physiol. 2019.
- Hagstrom AD, et al. The Effect of Resistance Training in Women on Dynamic Strength and Muscular Hypertrophy. Sports Med. 2020.
- Soares ALC, et al. Effect of resistance training on quadriceps femoris muscle thickness obtained by ultrasound. 2024.
- American College of Sports Medicine. Resistance Training Prescription for Muscle Function, Hypertrophy, and Physical Performance in Healthy Adults. 2026.
- Dan John. Dan John Goblet Squat. On Target Publications.



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